お疲れ様です。堺です。
中小企業の経営者には、「コンサルタントはインチキだ、報酬が不当に高すぎる、信用ならない」と毛嫌いされる方もままいらっしゃいます。
しかしながら、私自身、企業再生コンサルタントとして多く中小企業の窮境を多く見てきた立場としては、そのように一概にコンサルタントを嫌って遠ざけることは、経営上非常に危険なことであると確信をもって言えます。
手遅れになり「専門家の意見をキチンと聞いていればこんなことにはならなかったのに・・・」となる前に、適切な適材適所を実現できるようこの記事で「なぜコンサルタントが必要か?」を解説します。
本記事の目標:なぜコンサルタントを雇う必要があるのか?意味あるの?という疑問に対して、現役コンサルタントが応えます。
◇目次
YouTubeでの典型事例。独断で投資を進めた結果、後戻り不能な問題を抱えてしまう。
お笑い芸人として著名な宮迫氏が焼肉店を開設するにあたり、オープン直前に飲食店等のコンサルタントを招きアドバイスを受けるという内容です。
動画本編を見ればわかる通り、ぱっと見整ったハコになっているのですが、細かく見ていくにつれて様々な問題が指摘されていきます。(牛宮城の失敗とか再生とかとありますが、オープン前のようです)
- 全体としての造りは良いが・・・
- 店内入り口、顧客体験設計が甘い(余計な什器、構造)
- 高級個室のそばに厨房がある。作業音が抜けるのは不適切。(宮迫氏、何も考えていなかったとのこと)
- 個室の座椅子がドアにあたる。それぞれの椅子に実際座って設計していないのでは。
- 焼き台が電気式。言外に、焼き温度が低いという指摘か。
- 排煙は、宮迫氏としては検証して問題ないと言うが、高級店と位置づけるには煙・油ともに飛びすぎ。焼き台を変えるべき。
- (キツめな言い方と断ったうえで)全体として事業を舐めている。このまま直さず進めば店は失敗するだろう。
ちなみに、この動画撮影が2021年12月初旬、オープン予定が12月下旬であり、店内はもうオープンを待つだけの状態になっています。
それにもかかわらず、見ての通りボロクソとも言える指摘内容です。既に入れてしまった設備や構築物はどうするんでしょう?こうなってしまうと、事業上致命的なダメージを負ってしまいかねません。
この動画内の問題の本質を私なりにまとめると、「価格帯ごとに適切な店舗プロデュースができていない」、さらに言えば「何となく形を整えればきっとオッケーという素人感覚で進めたこと」がまずかったのだろうと思います。
宮迫氏の知名度があれば、この店は勢いで開けてしまっても何とかなるのかもしれませんが、通常の企業でこの状態に陥ると早晩経営危機へ一直線となっている可能性すらあります。
動画の事例は決して珍しくない。店舗のみならず工場設備などでも、後の祭りはよくある光景。
上記のように、専門家やコンサルタントの意見を聞かず設備投資を進めていると、なんらか問題を抱える可能性は高くなります。
上記では店舗の事例でありましたが、工場においてもライン設計などが不適切で後からプロが見ると話にならないという場合は割とよく見かける光景です。
- 自動化できるライン設計になっていない。
- 高度化に必要な補助設備を導入する場所がない。
- 質が悪い機械を入れてしまい、歩留まりが想定以上に悪い、新規先に必要な品質を確保できない。
- 上記の結果、非効率や歩留まりの問題で不採算になるも、設計自体に問題があるので外部売却しようにも引き取り手がいない。
工場新設、設備新調、店舗開設などは、会社の命運をかけた投資になるはず。
(投資額に比べれば)ちょっとしたコンサルタント費用をケチった挙句このような事態に陥っては、目も当てられません。
設備投資関連に限らない、コンサルタント不在の恐ろしさ
例えば私自身はM&Aを専門にしていますが、企業オーナーが過去に会社買収をしたことがない状態で、コンサルタント不在で株式買い取りを進めた場合、どのような問題が起きるでしょうか?
- 株式を買いとった相手が実は本当の所有者ではなかった
- 買収して数年後に旧株主の相続者であると名乗り出てきた者に経営権を奪取された、あるいは買取金を要求された
- 税務処理や登記事項が不適切で、後から追徴金を受けた
- 買収した後に契約や借入などに重大な問題が見つかり、処理不能に陥った
等々、挙げればきりがありません。
あるいは身近なところでは顧問税理士などが分かりやすいですが、税理士なしで申告業務をしていれば何らかの申告ミスや納付漏れを起こしてしまう可能性があることは、想像に難くないでしょう。
その他、給与・人事制度、建築、ITシステムなど、何となく形だけ整えて進めてしまった結果、重大な不具合を内部に貯めこみ、組織崩壊の契機を生んでしまう可能性は十分に考えられます。
コンサルタントは、「知りすぎると愚かになる」を解決する
勤務歴20年の意見は通らず、よそからやってきたコンサルタントの意見はなぜか即速採用される、という事象のある程度はこの「知りすぎると愚かになる」現象に起因しています。
誰しもが当てはまる話で、既に得た知識を取り外しゼロベースで考えるというのは、よほどの訓練を行わない限り不可能に近いものです。
勤務歴が長い、あるいはその事業の当事者である人間は、その会社・事業に対して誰よりも詳しい一方、既にその環境では当たり前となってしまった問題に向ける視点が欠如してしまいます。
コンサルタントは会社に対して無知ですが、そういった
十分な専門知識を持ち、かつあなたの会社・事業に対して無知だからこそ、コンサルタントを雇う価値はあり、また重大な問題点を発見しえるのです。
また、このことから社内に詳しい人間がいるからコンサルタントは不要という考え方は早計という指摘もできるでしょう。
では、どのようにコンサルタントを見つければよいのか?
ここまでコンサルタントの重要性を説いてきましたが、とはいえ「コンサルタント」を名乗る悪徳業者が多いのも残念ながら事実です。
では、真に役立つコンサルタントはどのようにすれば見つけられるのでしょうか?
信頼のおける専門家にコンサルティングを依頼する
信頼できる専門家が必要分野で既にいれば、一番の方法です。
特に自社や近隣の会社で過去に採用実績がある場合は、安心して仕事を任せることができます。
実績が明確になっている専門家を探す
とはいえ、そううまくいくことの方が稀でしょう。
知らない相手の中から探して仕事を依頼するのであれば、実績が明示されている専門家を探すべきだと思います。
例えばホームページで実際にコンサルティングを行った事例などを確認し、信頼がおけそうであれば依頼するなどの方向性が考えられます。
セカンド、サードオピニオンを取り入れる
この様に信頼できる意見を取り入れたとしても、重要なプロジェクトでは石橋を叩きすぎるくらいでちょうど良いものです。
多少のコンサルタント費用をはたいてでも、必要に応じてセカンド・サードオピニオンを取り入れるようにしましょう。(特に法務分野など、相手が有資格者だからと1人を完全に信用すると思わぬ落とし穴に落ちる事例もあります。)
但し、この場合は人数が増えるほど当然に情報漏洩リスクも高まりますので、ことの重要度合いはもちろんのこと、検討対象の機密性についても十分考慮した上で適切な判断をするようにしていただければと思います。
結び:思考を柔軟に、適材適所でのコンサルタント起用を。
私自身もコンサルタントなので、ポジショントークではありましたが、なぜ自身がコンサルタントをしているか、どういうときに仕事の意義を感じるのか、を思い返して書いてみました。
コンサルタントも適材適所が肝心ですが、そもそも「適所」とは何なのか?をこの記事からご理解いただければ幸いです。
今回もお目通し有難うございました。
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