こんにちは。堺です。
企業が長期的に成長を続ける上では、経営判断のツールとしての管理会計をしっかり組み立てることが必須です。
その管理会計の基本要素の一つ、費用を固定費・変動費に分解する損益計算書の組み替え作業は、あらゆる業種において重要となります。
この計算上の役立つテクニックとして、「固定費・変動費は決算書上の勘定科目で分ける」、「会計ソフトウェアの部門分け機能を使いこなす」の2点は、私自身が管理会計のコンサルティングを行う際に必ず推奨しています。
今回はこれらの点について説明してみたいと思います。
◇目次
固定費・変動費の把握を容易にするため、決算書上の勘定科目ごとに固変属性を決めて、計上先を変更・整理する
決算書上の損益計算書を眺めた時、一つの勘定科目の中に固定費と変動費が混ざっていると、その分解作業は大変です。
仕訳日記帳や総勘定元帳を紐解いて、具体的に中身を把握しないと金額が分からないですし、日常の管理業務の中でその処理を定期的に行うには負担が大きいです。回帰分析に頼る手もありますが、イレギュラーな事態には対応するのが困難です。
そこで私としては、機動的に変動費を集計し限界利益が計算ができるよう、あらかじめ勘定科目ごとに変動費を集計する科目をいくつか決めて、計上先を変更することをオススメしています。
勘定科目は、会社毎に自由に作成・変更できる
これは経理業務を行っている方には釈迦に説法ですが、基本的に勘定科目名は自社の都合で新たに創設・変更することができます。(もちろん、状況に応じて株主や債権者等のステークホルダーへの説明は必要です。)
この自由度を生かし、変動費と認識した費用を適切な名前の勘定科目に移しておくことで、決算書を見て電卓を叩くだけで、限界利益を計算することが出来るようになります。
尚、会計ソフトの種類によっては勘定科目数に上限が設定されている場合がありますので、新設する場合はその他科目の利用状況も併せて確認し、まとめられるものは統合しておくとよいでしょう。
勘定科目ベースでの分けが困難であれば、補助科目を利用する手もある
このように、勘定科目のレベルで固変を整理することは、決算書上で限界利益を計算できるという大きなメリットがありますが、それが困難な場合は補助科目を利用する手も考えられます。
多くの会計ソフトウェアでは、補助科目を各勘定科目ごとに利用可能で、集計機能が付いているかと思います。
そこで、勘定科目で分けることがどうしても難しい場合は、補助科目で変動費を集計できるようにしておけば、ちょっとした会計ソフトの操作で限界利益計算が可能となります。
(ちなみに)固定費・変動費を区分して把握する重要性については、関連記事をご参照ください。
固変分解、限界利益の把握は関連記事でも熱く語りましたので、ここでは割愛させていただきます。
端的に言うと、固定費・変動費は発生メカニズムが全く異なっており、混ぜて計算してしまうと経営者の費用コントロールや予算組みが困難になるため、固変分解は経営管理の基本的テクニックと言えます。
詳しくは、以下の記事をぜひご参考ください。
会計ソフトウェアの部門分け機能を活用する
おおよそ世に出ている会計ソフトでは、どんなに安価なものでも部門分け機能が付いていることが多いです。
しかしながら、様々な会社で会計帳簿を見た経験では、この「部門機能」を使いこなせている企業はほとんどない印象です。これはもったいない限りだと考えています。
事業部別の損益把握は、会社運営上きわめて重要だが、整理していないと計算が大変
各事業を適切に成長させていく上で、事業部ごとの損益、特に限界利益を把握することは、各事業に振り向ける投資のコントロールや予算組みの観点で重要です。
そのため、何らかの手段で事業部別の損益を計算することになるのですが、これも何らフラグを立てていなければ手作業で計算することになり大変な作業になります。
会計ソフトに事業部単位の部門を登録することで、事業部ごとの売上・費用・利益をクイックに把握可能
そこで、会計ソフトに事業部単位で部門を登録し、仕訳の段階で部門振り分けを行うことで、自動的に事業部別損益の把握ができるように仕組化することが出来ます。
この時、前セクションで説明した「固変を勘定科目で分ける」が採用されていれば、事業部別の限界利益を即座に把握することが可能です。
このように、折角ある機能なので最大限活用して、管理会計の工数を削減することが可能となります。
(ちなみに)当社は管理会計に強みを持つコンサルタントです。ぜひご相談/ご依頼ください。
当社では、大小様々な会社様に対して管理会計のコンサルティングを実施しております。
- 必要指標の整理と、エクセルベースでの管理会計資料の整備(製造業様)
- プロダクト別採算の精密計算の提供(IT業様)
- 集計困難な営業員稼働状況をGAS(Google Apps Script)により自動化(サービス業様) 他
管理会計は、企業業績の維持・成長に不可欠な業務です。ご相談やご不安、ご不明点などあれば、↓のボタンから是非お問い合わせ頂ければ幸いです。
お目通しいただきありがとうございました。