「データ集計が大変で仕事が回らない!データがサイロ化している!どうしたらいいんだー!(社長風の中年男性が頭を抱える)-> (仕事できる風の若手が身を乗り出し)そこで社長、XXXXシステムですよ!」
このような業務システムのCMはもはやスキーム化されたといっていいほど、タクシーなどのデジタルサイネージ広告で頻繁に見かけます。
管理会計の分野においても売上・仕入など様々なデータを取り扱うためCMのようなシステムを頼りたいと頭をよぎるかもしれません。しかし私としては、「管理会計にはシステムはデメリットが多い。エクセルを使い倒すべし。」と考えて常々主張しています。本記事では、そのような主張について持論を展開したいと思います。
◇目次
管理会計において柔軟性確保は極めて重要である
現代の事業環境はますます変化のスピードを速めており、あらゆる業種において数年でガラッと世界が変わるようなイノベーションが日々誕生しています。企業においても規模の大小に関係なく、環境に対応して常に事業を変化させていかなければ、今後生き残ることはままなりません。
管理会計は事業活動の羅針盤ともいえる存在であり、当然にそういった激しい変化に対応していく必要があります。ゆえに、管理会計における柔軟性(変更容易性)もますます重要度を増しているのです。
システム化した管理会計が事業変動に対応しきれるか?
新しい事業の開始や既存事業の閉鎖、商流変更などを行う場合、管理会計にシステムを使用している会社ではそのシステムの変更が必要になる可能性があります。
システム改修に無限に費用を出せる会社であれば問題ありませんが、多くの中小企業においてはそのような余力も余裕もありません。また、意思決定が速い会社では、改修に要するリードタイムも問題になるでしょう。
近年はノーコードツールに近く自由にデータ蓄積や集計を行えるソフトウェアも流通していますが、新たな事業変化に対して必ずしも適応できるとは限りません。対応しきれないとき、妥協が生まれ、データが不完全なまま時が流れてしまう懸念は捨てきれません。
エクセルという最強のBIツールを使いこなせ
データ集計・集約を行うBIツール(Business intelligence)は数あれど、自由度・拡張性・操作の分かりやすさにおいてエクセルは最強のツールといって差し支えないでしょう。そもそも、管理会計の分野に限らずあらゆるシステム化を検討する前に、エクセルの可能性を再確認するべきなのです。
エクセルで適切に作った管理会計は、柔軟性に富み、変更コストは比較的小さく、誰にでも取り扱いやすい計算ツールであるはずなのです。
エクセル推しは前時代的ではなく、現代への適用である
一時期、脱エクセルを掲げたBIツールやノーコードツールが一気に流行り業務SaaSバブルを生じさせました。私もかつては、システム化せずエクセルで何でもこなす中小企業の現場を見て辟易したものですが、現代においてはむしろエクセルに回帰するべきだと考えています。
前述の通り変化が激しい時代です。システム化による一時的な効率化をあきらめてでも、改めてエクセルの可能性を見直す時が来ているのでしょう。
複雑なことを行うと、エクセルが入り組んで処置不能になることもあるとは思います。しかしそれはエクセルが悪いのではなく、エクセル計算の組み方に問題があります。データIN->OUTの流れを意識した依存関係の維持、不要なファイル参照の排除など、基本的な作法を学ぶ場が周知されていないことも問題といえるでしょう。新時代の生き残りをかけて、社内のエクセルスキル向上も見据えた施策を行う必要があるのかもしれません。
管理会計は価値ある作業なので、データ集計が大変なのは当たり前である
冒頭でも例示したCMのように「データ集計が大変すぎます!」といった現場の悲鳴のような声は当然生じ得ます。データ担当者がくたびれて突っ伏している図が思い浮かびますが、そもそも会社の意思決定にとって重要なデータ集計が必ずしも楽であるはずはないのです。
管理会計についてもきちんと担当を付けて、相応の工数を確保して、データを収集して意味のある計算結果を見出す工程を担わせるべきです。日次・週次ペースで管理会計を組む会社もありますが、多くの会社では月次決算をやれば最低限はOKでしょう。せいぜい月1回の計算、腰を据えてやるくらいには管理会計には価値があるはずなのです。
(ちなみに)当社は管理会計に強みを持つコンサルタントです。ぜひご相談/ご依頼ください。
当社では、大小様々な会社様に対して管理会計のコンサルティングを実施しております。
- 必要指標の整理と、エクセルベースでの管理会計資料の整備(製造業様)
- プロダクト別採算の精密計算の提供(IT業様)
- 集計困難な営業員稼働状況をGAS(Google Apps Script)により自動化(サービス業様) 他
管理会計は、企業業績の維持・成長に不可欠な業務です。ご相談やご不安、ご不明点などあれば、↓のボタンから是非お問い合わせ頂ければ幸いです。
お目通しいただきありがとうございました。