お疲れ様です。堺です。
経費精算、生産管理、CRM、会計・・・これらシステムを導入するメリット、IT化する利点って何なんだろう?わざわざお金かけてなぜ面倒なものを入れるの?エクセルでやればよくない?・・といった疑問に対して、現役のIT技術者兼経営コンサルタントが「なぜシステム化する必要があるのか」を解説します。
尚、この「エクセルでよくない?」問題、ITが絡むコンサルティングの現場や、社内でのシステム化プロジェクトでは、導入推進派に対して必ずと言ってもよいほど投げかけられる議論です(具体的な顔が思い浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか)。
この記事では、そういった反論に対してどうロジカルに返していくか、その材料を提供したいと思います。
この記事の目標:「そもそもシステム化って必要なんだっけ?」と我に返ったシステム化担当者やマネジメントの方。あるいはそういった疑問をぶつけられて苦慮している方に対して、反論材料を提供し、適切なシステム導入につなげる。
◇目次
なぜシステム化するのか?結論4選
先ず結論4選を列挙します。後続セクションで詳しく解説していきます。
- 帳票やプロセスなどの規則を強制することができ、組織としての規律を生む
- 集計や記帳ミスを減らす
- 機密情報保持の観点で、個別ファイルでの情報保持をやめる
- ビッグデータとしての経営情報蓄積が可能となり、将来的な価値創造につながる
帳票やプロセスなどの規則を強制することができ、組織としての規律を生む
中規模以上の組織になってきた会社が真っ先に検討したいシステム化のメリットがこの点です。
エクセルなどは自由度が魅力なツールですが、その自由の裏返しで集団での統率が効かないのがデメリットといえます。
エクセルの弊害が出るのは特に次のような場面です。
- CRM(営業管理)の記録内容や行動指針が人によりバラバラ。ある人は会話内容まで詳細に記録しているが、またある人は逆にメモすら残っていない。情報を保存する場所も個人フォルダなど、散在している。
- 経費の記録方法、締め日、支払方法、経費精算対象とする費目の基準が人ごとに違う。
- 帳票の形式がバラバラなので、管理部などで集計するのに手間暇がかかり過ぎる
会社生活をしていれば目に浮かぶ光景です。こういった状況に対して、システム化することで一定の規則を組織に云わば強制することができます。
- CRM(営業管理)において決まった入力項目を必須とすることで情報が画一化され、同時に過去情報の検索容易性も確保できる。また、営業活動方針のルール化などができる。
- 経費システムの導入により、締め日と支払処理の統一や、経費計上可否の自動判定を行う。
- 統一形式での情報集約が可能となり、集計手間の大幅削減が実現。
このように、「エクセルでできること」をそのままシステムに乗せるだけだとしても、管理面では一定のメリットが見込まれます。
従業員側からすれば自由かつ慣れているエクセルでやらせてもらった方がよいという意見も出がちではありますが、組織として一定のルールを作り、システムを通じてそれをみんなで守ることが、規模に応じて求められる規律につながるのです。
また、拡大につれて指数関数的に増大する集計手間対策にも、一定規模以上の会社では避けて通れないシステム化理由がこれでしょう。
集計や記帳ミスを減らす
集計ミス、伝達ミスが頻発している職場では、このメリットはわかりやすく伝わると思います。
但し、集計される側と集計する側は責任の所在が別々であり利害も対立しがちです。双方のバランスや現在や近い未来の組織規模等を鑑みた上で説明を進めていく必要があるでしょう。
機密情報保持の観点で、個別ファイルでの情報保持をやめる
エクセルファイルなどは外部持ち出しが容易で、情報流出のリスクもそのまま抱えています。
無論、システム化したところで情報持ち出しはその気になれば可能なのですが、情報がファイルごとに共有フォルダー内に散在してどれがなくなったか、流出したかもわからないような状態に比べればはるかに健全といえるでしょう。
また、パソコン紛失リスクに強くなるのもシステム導入のポイントです。昨今はあらゆるソフトウェアのクラウド化が進んでいますので、情報流出の危険にさらされているデバイスをクラウドから遠隔で遮蔽できる体制を作ることは、データセキュリティの観点で極めて重要です。
この点も、ある程度の組織規模になった会社においては必須の観点といえます。
ビッグデータとしての経営情報蓄積が可能となり、将来的な価値創造につながる
現代のビッグデータ社会においては、企業内で日々生まれるデータには極めて貴重な価値を秘めています。
適切かつ戦略的なデータ蓄積と、近年急速に普及したAIやデータサイエンスの知見を交えることにより、格段の効率改善実現や、更には同業他社向けの新規ビジネスにつながる可能性すらあるからです。
具体的に例を挙げるならば、次のような活用が考えられます。
- 生産管理システムにおける不良品発生データを基にした、事前予測による歩留まり改善
- 配送管理システムにおける入力修正データを基にした、入力ミスの自動検知
- 営業訪問記録や会話データを基にした、将来の成約確率算定や適切なネクストアクションなどの客観的判断
このように、最新テクノロジーと適切なデータの蓄積によりさまざまな効率化や問題解決が実現可能な時代がすでに到来しており、今後大幅な人口減少が予測される日本においては、長期的な事業体維持のためにこのような取り組みは極めて重要といえます。
本格的に取り組むにあたっては、専門家の意見を受け入れ、データ蓄積の狙いの明確化、必要データ選定、データ集約経路等をよく検討した上で、システム導入を進めるとよいでしょう。
あなたの会社のデータも、データサイエンティストの発掘を待つ、埋もれた財宝なのかもしれません。
備考:システム化の必要性は、会社のステージによって変化していく。
この記事で既に何度か述べている通り、システム導入の必要性は組織規模(地理的あるいは人員数的な規模)に大きく依存します。
よって、これまでは適当な管理体制でもよかったものが来年からはシステムを入れなくてはいけない、といったような事態も往々にして発生します。
しかしながら、このような観点は一般従業員からすればなかなか実感しにくいもので、「なぜそんな面倒なことを」といった思いが先行しがちです。システム化担当やマネジメントとしては、このような組織のステージの移り変わりもしっかり説明したうえでメリットを内部に説いていくことが求められると言えます。
結び:システム導入ありきではいけないが、システム化のメリットには真摯に向き合うべき
今回、言われなければ意外と気づかないかもしれないというメリットも含めてお送りしました。
ご担当者様におかれましては、システムの選定やそのメリット、必要性など、ぜひ慎重に検討したうえで、良い決定ができることを祈っております。
また、当社においても、システム導入支援やオリジナルアプリ開発などを行っております。ちょっとしたご相談でもぜひご相談ください。
今回もお目通しいただきましてありがとうございました。
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