お疲れ様です。堺です。
会社内でのファイル共有、サーバー管理やセキュリティ面など苦慮されていないでしょうか?
ここ数年でクラウドストレージの環境も大きく変わりつつあり、もはや自社でファイルサーバーを抱えることはデメリットの方が大きくなりつつあります。
今回は、そのような背景を解説し、最新のテクノロジー環境を踏まえたファイルサーバー・クラウドストレージのメリットとデメリット、選定のヒントをご紹介します。
◇目次
クラウドストレージは近年急速に日本社会に浸透。企業でも十分に利用可能な環境が整いつつある。
クラウドストレージは、GoogleドライブやDropboxなどに代表されるような、クラウドストレージサービスにファイルを設置し、内部メンバーが世界のどこからでもアクセスできるようにするファイル共有サービスです。
自社クラウドサーバーやVPN接続との違いとしては、サーバー管理が提供ベンダーによるフルマネージドになっている点が挙げられます。
これにより、大手ベンダーによる高度なサーバー安定性やセキュリティ水準を比較的低価格で享受することが可能です。
近年におけるクラウドストレージサービスの状況と社会的認識について確認していきます。
「ネットのファイルサービスって個人が使うものでしょ?会社用に使うには怖い」という先入観はもう古い
あえて断言させていただきました。企業活用が現実的になってきたのは、特にここ3~5年の近況という感触です。
特にDropboxは2008年のサービス公開から10年以上経過しているので、名前は聞いたことはあるかもしれません。この登場当時、特に日本国内においてはネットマニアなどの一部の個人がこういったサービスを利用していたに留まっていましたので、このような先入観が生まれた要因になったものと思われます。
逆に、ここ数年「企業でもクラウドストレージを利用しても当然」という理解が進みつつあるのは、見過ごせない社会認識の変化であると言えます。
IT大手企業によるエンタープライス専門サービスの拡充が進む
例えばGoogleではGoogle Workspaceというエンタープライス向けのグループウェアを提供しており、この中に「Googleドライブ」というクラウドファイルストレージサービスが含まれています。
この事例のように、IT大手企業による会社向けクラウドファイルストレージは続々と拡充されています。
こういった背景を反映し、日本国内でも会社用での採用可能という社会的認識が浸透し、導入事例は増加しつつあります。
上場企業においても多数の導入事例
私自身は過去数社の1部上場企業にコンサルタントとして関与したことがありますが、それらガバナンスに厳しい会社であってもGoogleドライブやDropboxを採用している会社を実際に多く見てきました。
実際にサービス提供各社のホームページをみると、上場企業や、建築や製造など比較的トラディショナル寄りと思われる業種であっても事例が存在することが分かります。
この様に、いまやクラウドストレージサービスは自社でファイルサーバーを抱えるのと同等の信頼性、利用可能の認識を獲得したと言えようかと思います。これはひとえに、大手ベンダーが保有する先端技術を、サブスクリプションの形でシェアリングすることで比較的低額に利用できるからでしょう。
【メリット】クラウドストレージに移行するメリットは?
この様に導入が広がるクラウドストレージですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
代表的なものを列挙して説明していきます。
あらゆる場所、あらゆる端末から、セキュアにファイル共有が可能
クラウド上にファイルを置くことになりますので、テレワークや出張中であっても各担当者が社内のメンバーとファイル共有をすることが可能となります。
また、当然ながらアクセスは無制限とするわけではなく、パスワードやメールによる認証により必要な情報を守ります。
導入組織の方針によっては端末をサービス側で管理し、個人用端末からはアクセス不能にしたり、端末紛失時にアクセスブロックするなどのコントロールも可能です。
この様に、自社でサーバーを抱えている形では実現できない拡張性やセキュリティ機能を活用できることが大きなメリットといえます。
自社ファイルサーバーの保守が不要になる
自社ファイルサーバーの場合、ファイルサーバーの日常の電源等管理、また何かトラブルがあれば技術者による復旧作業が必要です。
自社内に設置された物理サーバーであるため、委託先は近所の業者に限定され、それゆえ保守料も高額になりがちです。
他方、クラウドストレージに関してはベンダーによるフルマネージドであるため、自社の保守費用・作業は不要となります。
サーバー破損によって突発的に生じる修理・買替費用の発生リスクから解放される
自社ファイルサーバーの場合、機器が破損した場合は修理費・機材費でそれなりの設備投資が突発的に発生してしまいます。
逆にクラウドストレージであれば、月額費用は同じく発生するものの、このような急の支出が必要となる可能性はゼロにできます。
資金・投資計画への影響可能性も含めて、費用対効果面で優れていると言えます。
【デメリット・未解決問題】自社ファイルサーバーからクラウドストレージに切り替えによるデメリット・未解決問題
では、逆にデメリットを見ていきます。導入を検討、もしくは導入済みの企業様には要注意すべき項目も含まれています。
ベンダーのシステム障害の巻き添え被害を受ける
新聞・ニュース等ではAWSやGoolgeなどクラウド事業者のサーバー障害がたまに報じられます。
もしこれら障害が生じたときにその会社のサービスを利用した場合、一時的にファイルにアクセス不能となる可能性があります。
とはいえ、自社ファイルサーバーでもトラブルを起こす可能性もあるので、正確には同じリスクが尚存在しているという理解かと思います。
ユーザーあたりに従量制費用が発生するため、余りに大人数社員での利用になるとコスト負けする可能性
自社ファイルサーバーでは、必要スペックの問題はあれど、ある程度人数が増えても低額で利用可能です。
他方、クラウドストレージサービスはユーザーあたり月額1,000~2,000円のコストが発生するので、数千人規模などになってくると、コスト負けしてくる可能性はあろうかと思います。
自社の利用状況などをよく確認した上でご検討いただければと思います。
データ消失リスクから解放されるわけではない
クラウドストレージサービスは、クラウド事業者を信頼してファイルデータを預けることになります。
それは逆に言えば、クラウド事業者によってアクセスが遮蔽されればファイルが取り出し不能になるということを意味しています。
例えばGoogleドライブの利用規約には、「Google のポリシーまたは法律に違反していると合理的に判断したコンテンツを削除したり、その表示を拒否したりできます」と明記されており、Google側が独自判断によりコンテンツ(ファイル)削除・表示拒否できる権利を有することが書かれています。(下記リンクの2. プログラム ポリシーの箇所参照)
通常の業務範囲内であれば抵触する可能性は極めて低いと思われますが、こういった判断は多くの場合AIにより行われ、異議申し立てが必ずしも認められるとも限られません。
したがって、これらサービスを利用する場合にはクラウド事業者の管理が届かない場所で定期的にバックアップを作成しておくことが求められると言えます。
この様に、自社ファイルサーバーから乗り換えたとしてもバックアップ作業から解放されるわけではないということはご注意いただければと思います。
自社構築のクラウドファイルサーバーはどうだろう?個人的にはメリットに乏しいように思える。
ここまでベンダーが提供するストレージサービスの利用を前提に書いてきましたが、では自社でクラウドサーバーを立てる方向性はどうだろうか?と考えてみます。
自社構築の場合、社外からもアクセスできるというメリットはあります。自社ファイルサーバーにVPNでアクセスしている場合も同様です。
他方、クラウドサーバーとはいえ物理的に存在しているサーバーであるためメンテナンスコストも自社持ちになり、破損等による支出を要することは変わりありません。
更にセキュリティを自前で担保する必要がある、データセンター等の設置コストもかかるといった点も見逃せず、どちらかといえばデメリットの方が大きいように感じます。
無論、状況や要件次第ではありますので、よく精査した上で方針を決めていただければと思います。
自社・クラウドストレージサービスの項目別評価比較・まとめ表
以上を踏まえ、それぞれの形態に関する評価を項目別に行ってみます。
結論としてはやはり本記事の主張通り、クラウドストレージサービスに軍配が上がります。
ファイルサーバー形態別の特徴
比較ポイント | クラウドストレージサービス | 社内ファイルサーバー | 自社クラウドファイルサーバー |
---|---|---|---|
コスト | 〇 (1人月額1,000~2,000円程度。また、機器破損等による突発的出費の心配がない) | △ (地元ベンダーによる保守料、機器破損等による突発的設備投資) | △ (サーバー設置当地ベンダーによる保守料、機器破損等による突発的設備投資) |
セキュリティ | 〇 (大手ベンダーによるサポート) | 〇 (インターネットからの切り離しが可能) | △ (自社・委託先での設定次第) |
バックアップの手間 | - (クラウドに預けてもバックアップは取るべき) | - (破損等に備え必要) | - (同左) |
どのサービスを選べばよいのか?
ICT総研「2020年 クラウドストレージサービス市場動向調査」によると、仕事用・仕事用以外を問わずGoogleドライブがトップシェアとなっているようです。
具体的比較は割愛しますが、Googleならではのファイル検索機能の使いやすさ、共同作業ツールの充実度、コスト面でGoogleドライブは優れているように感じます。
補足:Googleドライブを含むグループウェア「Google Workspace」の優れたコストパフォーマンス
Google Workspaceは、Googleドライブのみならず、会社内でのカレンダー共有・共同作業可能なスレッドシートやドキュメント作成・GMail・Web会議・チャットなど、チームでの仕事を進めるうえでの様々なアプリが含まれています。
既存のWeb会議やチャット、カレンダーソフトウェアなどがあれば解約の上統合できますし、その上で月額コストも他のクラウドストレージサービスに比べて遜色ない水準となっています。
この様に、導入によって副次的メリットを得られる可能性がありイチオシしています。
もしご興味がある方は、当社にて導入サポートまでさせていただきますので、ぜひお問い合わせいただければと幸いです。
結び:まずは選択肢があることを知っていただき、自社の要件に合わせた選択を。
クラウドストレージサービスは、ファイル共有における新たな選択肢と言えます。
効率化や何かのきっかけこれまでの体制を見直すなどの際には、是非候補として検討していただければと思います。
また、当社でも導入サポートなどのサービスを行っております。お困りの際は是非お問い合わせください。
どうもありがとうございました。
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